会長からのご挨拶
今年度はコロナの影響で、コラボ研修はじめ加賀パス協会活動が殆どできませんでした。
このため、残念なことに2020年度は活動が始まって以来、初めて年報が作成できない年となってしまいました。
本来は4月に行うべき「日本海脳卒中医療連携セミナー」も、11月14日にファイザー株式会社のご協力により、ようやくWeb講演会の形での開催に漕ぎつけた次第です。初めての経験でしたが80名の方にWeb参加していただけました。また同日これに先立ち協議会役員会も行うことができました。セミナーでは加賀および能登エリアでの活動報告を行い、特別講演では田口博基先生による「先達の熱い教えから近未来の脳卒中連携医療を探る~対策基本法への期待~」のご講演を賜りました。2018/12に成立した「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」以下、脳卒中・循環器病対策基本法(脳循法)に関係した内容でした。
さて、この「脳循法」につき少し述べたいと思います。この成立に先立ち、2016/12に「脳卒中と循環器病克服5か年計画」を日本脳卒中学会と日本循環器学会とが立ち上げました。これにより「脳卒中」「心不全」「血管病」の3疾患を対象に、①チーム医療のための「人材の育成」、②急性期だけでなく回復期・慢性期の「医療体制の充実」、③「登録事業の促進」による情報収集体制の整備と分析・活用、④循環器病の重要性と予防の有効性を「国民へ啓発」、➄「臨床・基礎研究の強化」による原因に基づいた治療、という5つの事業を推し進めてきました。2021/12には「脳卒中と循環器病克服第二次5か年計画」が公表される予定です。「脳循法」の基本理念は、①予防と発症時の適切な対応に関する啓発、②全国どこでも適切な救急搬送・救急受診により速やかな救急医療が開始され、生活期まで継ぎ目なく継続されること、③患者と家族の生活の質を維持・向上させ、社会参加を促すこと、④専門的、国際的、総合的な教育・研究の推進、普及そして活用、➄情報収集体制を整備し、分析、活用することとしています。具体的には、2019年度からtPA静注療法が24時間365日行える「一次脳卒中センター」の認定、日本脳卒中学会の「脳卒中治療ガイドライン[追補2019]」により、これまで8時間に制限されていた脳梗塞急性期の血管内治療も最長で24時間以内での実施が一部可能になってきています。2020年10月末には「循環器病対策推進基本計画」が閣議決定されましたが、これは脳卒中・心臓病などの循環器病についての国の対策の基本的な方向性を明らかにしたものです。この基本計画を基に、2021年春から、都道府県ごとに地域の実情に合わせた具体的な計画が作成され、実行される予定です。また本計画では「2040年までに3年以上の健康寿命の延伸、年齢調整死亡率の減少」という全体の数値目標も掲げられました。
日本の死亡原因第2位である心臓病を含む循環器病、第3位である脳卒中脳卒中と心臓病を中心とした循環器疾患は、要介護の原因の約1/4を占め、医療費の2割を超えるとされます。これまで医療費削減のために、介護保険の導入、DPCによる医療費請求、(超)急性期・回復期・生活期医療施設の役割分担と7:1看護体制の導入などによる過剰病床の減床政策が行われてきました。基本計画は脳卒中・循環器病の予防と未病対策・超急性期医療の充実による同患者の減少を図るものです。このような医療体制の大きな潮流の中、石川県脳卒中地域連携協議会が立ち上げられ、連携パスが運用開始より12年が経過しました。これにより急性期・回復期・生活期間の医療連携が円滑に進み、まさに「脳循法」の基本理念に沿った活動を行って来たと自負できる感があります。パスにより得られたビッグデータを活用して、シームレスな循環式医療連携の構築、円滑な治療への活用を目指して、石川県の脳卒中撲滅への道を進んでゆきたいと考えています。
昨年には、私たちのこれまでの活動経験をもとに、循環器科の先生による石川県心不全地域連携パスの立ち上げに際し情報提供などの協力をさせていただきました。2020/10より循環器科の先生方による石川県心不全地域連携パスの運用が始まりました。ともに石川県の脳卒中・循環器病の予防および治療体制の確立に協力しあってゆきたいと考えています。
昨年度はコロナ感染の影響で顔と顔を突き合せた活動、特にコラボ研修会が一度も行えませんでした。今年度の研修会等に向けて、すでにWEBでのコラボ研修会のリハーサルも行い、7月には2021年度の研修会も行える予定となっています。その際には、是非ぜひ、多くの参加者をお待ちしています。また開業医の先生型には年3回の診療報酬による 加算50点の獲得、生活期への連携強化にご協力させていただこうと考えてします。よろしくお願いします。
時節柄、お身体、ご自愛ください。
朝の来ない夜はない。夜の明ける直前が最も暗い。もうすぐ夜明けです。
(2021.5)
このため、残念なことに2020年度は活動が始まって以来、初めて年報が作成できない年となってしまいました。
本来は4月に行うべき「日本海脳卒中医療連携セミナー」も、11月14日にファイザー株式会社のご協力により、ようやくWeb講演会の形での開催に漕ぎつけた次第です。初めての経験でしたが80名の方にWeb参加していただけました。また同日これに先立ち協議会役員会も行うことができました。セミナーでは加賀および能登エリアでの活動報告を行い、特別講演では田口博基先生による「先達の熱い教えから近未来の脳卒中連携医療を探る~対策基本法への期待~」のご講演を賜りました。2018/12に成立した「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」以下、脳卒中・循環器病対策基本法(脳循法)に関係した内容でした。
さて、この「脳循法」につき少し述べたいと思います。この成立に先立ち、2016/12に「脳卒中と循環器病克服5か年計画」を日本脳卒中学会と日本循環器学会とが立ち上げました。これにより「脳卒中」「心不全」「血管病」の3疾患を対象に、①チーム医療のための「人材の育成」、②急性期だけでなく回復期・慢性期の「医療体制の充実」、③「登録事業の促進」による情報収集体制の整備と分析・活用、④循環器病の重要性と予防の有効性を「国民へ啓発」、➄「臨床・基礎研究の強化」による原因に基づいた治療、という5つの事業を推し進めてきました。2021/12には「脳卒中と循環器病克服第二次5か年計画」が公表される予定です。「脳循法」の基本理念は、①予防と発症時の適切な対応に関する啓発、②全国どこでも適切な救急搬送・救急受診により速やかな救急医療が開始され、生活期まで継ぎ目なく継続されること、③患者と家族の生活の質を維持・向上させ、社会参加を促すこと、④専門的、国際的、総合的な教育・研究の推進、普及そして活用、➄情報収集体制を整備し、分析、活用することとしています。具体的には、2019年度からtPA静注療法が24時間365日行える「一次脳卒中センター」の認定、日本脳卒中学会の「脳卒中治療ガイドライン[追補2019]」により、これまで8時間に制限されていた脳梗塞急性期の血管内治療も最長で24時間以内での実施が一部可能になってきています。2020年10月末には「循環器病対策推進基本計画」が閣議決定されましたが、これは脳卒中・心臓病などの循環器病についての国の対策の基本的な方向性を明らかにしたものです。この基本計画を基に、2021年春から、都道府県ごとに地域の実情に合わせた具体的な計画が作成され、実行される予定です。また本計画では「2040年までに3年以上の健康寿命の延伸、年齢調整死亡率の減少」という全体の数値目標も掲げられました。
日本の死亡原因第2位である心臓病を含む循環器病、第3位である脳卒中脳卒中と心臓病を中心とした循環器疾患は、要介護の原因の約1/4を占め、医療費の2割を超えるとされます。これまで医療費削減のために、介護保険の導入、DPCによる医療費請求、(超)急性期・回復期・生活期医療施設の役割分担と7:1看護体制の導入などによる過剰病床の減床政策が行われてきました。基本計画は脳卒中・循環器病の予防と未病対策・超急性期医療の充実による同患者の減少を図るものです。このような医療体制の大きな潮流の中、石川県脳卒中地域連携協議会が立ち上げられ、連携パスが運用開始より12年が経過しました。これにより急性期・回復期・生活期間の医療連携が円滑に進み、まさに「脳循法」の基本理念に沿った活動を行って来たと自負できる感があります。パスにより得られたビッグデータを活用して、シームレスな循環式医療連携の構築、円滑な治療への活用を目指して、石川県の脳卒中撲滅への道を進んでゆきたいと考えています。
昨年には、私たちのこれまでの活動経験をもとに、循環器科の先生による石川県心不全地域連携パスの立ち上げに際し情報提供などの協力をさせていただきました。2020/10より循環器科の先生方による石川県心不全地域連携パスの運用が始まりました。ともに石川県の脳卒中・循環器病の予防および治療体制の確立に協力しあってゆきたいと考えています。
昨年度はコロナ感染の影響で顔と顔を突き合せた活動、特にコラボ研修会が一度も行えませんでした。今年度の研修会等に向けて、すでにWEBでのコラボ研修会のリハーサルも行い、7月には2021年度の研修会も行える予定となっています。その際には、是非ぜひ、多くの参加者をお待ちしています。また開業医の先生型には年3回の診療報酬による 加算50点の獲得、生活期への連携強化にご協力させていただこうと考えてします。よろしくお願いします。
時節柄、お身体、ご自愛ください。
朝の来ない夜はない。夜の明ける直前が最も暗い。もうすぐ夜明けです。
(2021.5)